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フードサービス業界の労務相談
「働いてあげている」「働かせてあげている」はトラブルのもと!
現代の飲食業界において、健全な経営状態を保つためには「健全な労働環境の整備」が必要です。しかしながら中小企業、個人自営業が全体の9割以上を占める飲食業界は他のサービス業界同様、健全とは言い難い労働環境により雇用者と従業員間のトラブルが多い業界です。料理業界はそもそも「職人の世界」である事からいわゆる「サラリーマン的」な勤務意識がなく、【働く=奉公=修業→独り立ち】という図式が成立してきた世界ですが、「外食産業」「フードビジネス業界」の名のもと、メジャー業界として確立するには「正しい労務知識」は無視できません。このコーナーでは飲食業界の労働者・雇用者の両者の視点で正しい労務知識を紹介し、雇用者への啓発・提案、そして労働者への権利・責任などを実例をもとに理解していただき、両者にとってトラブルのない健全で分かち合える職場構築のサポートを目指しています。
今号のご相談内容

今号のご相談内容

「年次有給休暇の日数を労働者に通知する義務はあるか」

質問1

Q.

 私の勤めるお店では、有給休暇を取りたいと言えば取らせてくれます。しかし、お店の側は、積極的に取らせる姿勢があるわけでもなく、何日残っているかも教えてもらえません。店長に聞いても、「本社で管理しているから」と、よく分かっていないようです。従業員に有給休暇の日数を教えることは、法律上の義務ではないのですか。
【30才 女性】
答え

A.

 法律上の義務とまではなっていません。しかし、ガイドラインによって労働者に周知することが求められています。  年次有給休暇(年休)は、労働基準法で定められている、労働者にとっての休む権利となっています。しかし、職場の雰囲気によっては年休を取りづらかったりして、従来から取得率は低いものでした。そこで、「働き方改革関連法」の一つとして、労働基準法が改正され、「年に5日は確実に年休を取得させること」が、使用者(お店の側)に義務づけられることになりました(39条7項、平成31年4月1日施行)。同時に、「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存することも義務づけられました(労働基準法施行規則24条の7)。この年次有給休暇管理簿には、労働者ごとに、基準日(毎年、年休の権利が発生する日)、日数取得時季(取得した日付)を記録しなければなりません。  一方、長時間労働の抑制等、労働時間の設定の改善を促進することを目的とした、「労働時間等設定改善法」という法律があります。この法律に基づき、事業主が改善に向けて適切に取り組むことができるよう必要な事項について定めた「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」を、厚生労働省が策定しています。そして、先述の労働基準法改正に伴い、ガイドラインも改正されました。  改正点の一つ、年休に対する意識の改革に向けた措置として、「年次有給休暇管理簿の作成・周知」を挙げています。具体的には、「使用者は、法律の義務により年次有給休暇管理簿を作成するのみならず、年休の取得状況を労働者及び当該労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者に周知すること」と定めています。つまり、年次有給休暇管理簿に記録している取得状況を、労働者本人に周知するとともに、その上司(ご質問のケースでは店長)にも周知することが求められているということです。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

飲食店においては、なかなか年休を取らせてあげられないという実情もあるでしょう。しかし、人手不足が深刻になっている現在において、労働条件を改善することで良い人材が定着し、生産性が向上し、ひいては企業の発展につながることを再認識しなければならないでしょう。
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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